伝票を訂正するときに貸借逆にする書き方とマイナスで計上する書き方が社内にあります。
ルールの統一どうしたらいいですか?
ちょっと長くなりますが、お付き合いください。
たとえば、次の事象があったとします。
① 4/30に新聞代の集金があり5,500円現金で支払いした会計処理をした。
② その日現金出納帳を締めたときに正しくは5,400円を実際に支払ってことに気づき①を訂正した。
①の仕訳は次のようになります。
図書新聞費 5,500 / 現金 5,500
これを訂正する(5,400円にする)仕訳は、次の②-Aか②-Bどちらが望ましいでしょうか。
②-A
現金 100 / 図書新聞費 100
②-B (2行でセットです)
現金 5,500 / 図書新聞費 5,500
図書新聞費 5,400 / 現金 5,400
(解答)
どちらでも結果は同じ。正解です。
②-Aの計上のしかたは、教科書的には差額補充法といわれるものです。差分だけを計上するやり方ですね。
②-Bの計上のしかたは、教科書的には洗替法といわれるものです。間違えたものを全額戻して、正しいものを改めて全額計上するやり方です。仕訳の明細行が2行になります。
それでは、訂正する仕訳について次の②-Cか②-Dの仕訳はどうでしょうか。
②-C
図書新聞費 △100 / 現金 △100
②-D (2行でセットです)
図書新聞費 △5,500 / 現金 △5,500
図書新聞費 5,500 / 現金 5,500
(解答)
②-A、B、C、Dどの訂正のしかたでも結果は同じですね。
簿記の教科書では、訂正する場合は貸借を逆にするような教え方をします。
②-A、Bがそういう計上のしかたです。
②-Cはマイナス値で差額補充法。②-Dはマイナス値での洗替法です。
このようなマイナス値での計上は教科書では教えてくれていないように思います。
では、それぞれのケースで元帳をみるとどのような記載になっているでしょうか。
「現金」の総勘定元帳です。
②-Aの場合
(借方) (貸方)
--------------
① 5,500 「新聞代支払い」
②-A 100 「新聞代支払額訂正」
--------------
②-Bの場合
(借方) (貸方)
--------------
① 5,500 「新聞代支払い」
②-B 5,500 「新聞代支払いの伝票取り消し」
②-B 5,400 「新聞代支払い」
--------------
②-Cの場合
(借方) (貸方)
--------------
① 5,500 「新聞代支払い」
②-C △100 「新聞代支払額訂正」
--------------
②-Dの場合
(借方) (貸方)
--------------
① 5,500 「新聞代支払い」
②-D △5,500 「新聞代支払いの伝票取り消し」
②-D 5,400 「新聞代支払い」
--------------
結果は一緒ですが、みなさんはどれがお好みでしょうか。
今月通していくらの入金があったかを知りたければ、借方合計を見ればわかる。出金がいくらあったかを知りたければ貸方合計を見ればよい。そのような管理をしたければ、②-Cか②-Dの計上方法で運用すると管理できます。簡単に答えを導き出せます。
②-Aや②-Bの計上方法だと簡単には入出金額を把握できないでしょう。訂正伝票部分を調整して計算しなくてはなりませんからね。
現金勘定を例に説明しましたが、普通預金勘定でも同じです。資金繰り状況を把握するには②-Cか②-Dのマイナス計上する方式を採用した方が帳簿も有効に活用できるはずです。
最後に、②-Cと②-Dのどちらが良いか。
好みの問題もありますが、仕訳で何を計上したか明瞭なのは②-Dの方ではないでしょうか。2行セットになる手間はありますが、一行目で誤計上の伝票を完全に無くし、二行目で本当に計上したかったものを計上する。他の人が帳簿を見ても何を訂正したのか理解しやすいように思いませんか。