源泉徴収する支払先とそうでない支払先の違いを教えてください。
支払先によって所得税を引く相手先とそうでない相手先がいるのですが、違いは何なんでしょうか。
会社が支払う報酬・料金等に絞って回答します。
個人への支払い:源泉徴収する
法人への支払い:源泉徴収しない
報酬・料金等の支払いは上記のルールだと覚えておけば対応できるでしょう。
特殊な例もありますが、一般的な企業ではこの理解で十分実務対応できます。
会社で起こる取引として、謝礼金や報酬を支払うことがあります。いくつか例を挙げます。
(源泉徴収する例)
1.フリーランスのデザイナーに製品の外観の設計をしてもらい設計料を支払った。
2.大学教授を招いて講演をしてもらい講演料を先生に支払った。
3.外国人ゲストの対応をしてもらった通訳者に報酬を直接支払った。
(源泉徴収しない例)
4.デザイン事務所に製品の外観の設計をしてもらい設計料をデザイン事務所に支払った。
5.大学教授を招いて講演をしてもらった。先生の個人会社からの請求に基づき講演料を支払った。
6.隣家のご主人より木材を購入した。
7.大学教授を招いた際に、お車代10,000円を先生に直接支払った。
<解説>
1、2、3は個人への報酬の支払いですから、源泉徴収しなくてはなりません。
注意点として―――
1の場合、550,000円(本体500,000+消費税50,000)の請求額の場合、消費税込みの金額を源泉徴収の対象として計算します。
550,000 × 10.21% = 56,155円 源泉徴収します。
2、3の場合、契約や事前の約束で、手取りで丸い金額(ちょうど5万円とか10万円ぴったりとか)を封筒に入れて現金で手渡しすることが多いかと思います。
手渡するのが100,000円ならば次の計算(グロスアップ)をします。
100,000(手取り額) ÷ 89.79%(1-0.1021) = 111,370(報酬として経費処理する額)
111,370(報酬) × 10.21% = 11,370 源泉徴収額です。
4、5は法人への支払なので源泉徴収はせずに先方からの請求書に基づき支払します。
6は、一見すると個人への払いだからと源泉するのではと思うかもしれません。しかし取引内容が「報酬の支払い」ではなく「仕入代金の支払い」なので、源泉徴収の必要ははありません。
7は往復の交通費の実費立替と大きく離れていないならば源泉徴収する必要ありません。旅費交通費として会計処理をすればいいのです。
いかがでしょうか。
簡単な解説でしたが、実務では十分対応できますよ。