税務調査が行われる前までの対応について説明します。

事前にやることは下記４点です。
１．日程の調整
２．社内への連絡
３．会場の設定
４．資料の用意

１．日程の調整
まずは電話で調査に伺いたいと調査官より連絡があります。先方より希望日程が伝えられますが、それに合わせる必要はありません。調査自体を断ることはできませんが、日程をずらしてもらうことは可能です。
決算処理が落ち着つくタイミングや調査に対応するスタッフの出張のないタイミングで設定するといいでしょう。
先方からの電話に焦って、その場で先方希望日程でOK出さないように。
部内で話し合ってから折り返しこちらから先方に連絡するようにしましょう。あわてないでください。

顧問税理士がいるなら顧問税理士宛てに調査官より連絡が行きます。
その場合、税理士の先生が調査に臨場できるスケジュールも顧慮して日程を組みましょう。

２．社内への連絡
調査の日程が決まったら、社内に税務調査が来ること連絡します。
内容は次の要素があると良いでしょう。
・調査日程（会社の規模によりますが２週間くらいです）
・調査官を受け入れて対応する会議室名
・経理部から各部へ資料の要請をすることや調査官への質疑応答に協力して欲しい旨のお願い
・経理部の対応担当者の名前と内線番号
・調査官が各部の担当者に経理を通さず直接問い合わせをしてきたら、質問には答えず経理に連絡して欲しい旨

３．会場の設定
会場にはコピー機（印刷もできる複合機）とPCを用意します。
電子帳簿保存法に従って保存している帳簿や書類の調査対応をするためです。会社のIT部門にお願いして用意してもらいましょう。PCは関係するフォルダやアプリだけアクセスできるように設定し、それ以外へのアクセス権は与えないでください。余計な資料やシステムを閲覧させてはいけません。

また、調査官が資料をコピーしたり印刷した場合、会社側にも同じものを残してもらう運用も有用です。調査官が何の案件を調べているのか間接的に把握できるからです。先回りして質問の回答のしかたを他部署と協議しておくこともできますからね。
調査が終わったら調査官からコピー代を払わせてくれとの申し出があります。コピー機設置時のカウンターを控えておいて終了時のカウンターとの差額枚数を請求しましょう。

ランチの対応について。社員食堂があれば実費精算するので使わせて欲しいと言われることがあります。調査官が食堂への道すがら余計なものに興味を持ったり、社員の会話を盗み聞きされるのを防ぐため、社外に食べに行ってもらう方をおすすめします。その場合、調査官に会議室のカギを渡して施錠してから外出してもらうようにしましょう。

４．資料の用意
資料は調査対象期間３年分をひとまず用意するように言われます。過年度より税務処理の誤りが継続している案件があれば調査の途中から５年まで遡ることもあります。調査官が手にしやすいように直近の決算期を手前に配置し会議室に搬入しましょう。

・紙の書類
搬入した請求書や帳簿関係に付箋がついていれば、すべて取り去ります。調査官は付箋があれば何かあるかと思い真っ先に見られてしまいます。何も隠し事がなくてもいらぬ勘ぐりを避けるためです。

・データ
決算や税金関係の計算資料をExcelで欲しいと言われることがあります。データで渡す前にsheet内に余計なコメントや不要なsheetがないかを確認してから渡しましょう。焦ってすぐに渡す必要はありません。内容確認してから不要な要素を排除して渡しましょう。
また、初見では内容が複雑で調査官が理解しにくいと思われる資料は、説明してから渡すようにしましょう。

以上です。
焦らず落ち着くこと。
質問にはその場で即答せず、対応を顧問税理士や部内で検討してから答えます。
調査官からの質問とそれについての回答を一覧にまとめて、部内で共有することも大切です。